新ジャンル「FAの主人公が幼女」37


       1

霞スミカはエレナの傍にいてやりたかったが、状況がそれを許さない。
ただでさえ戦力が不足しているのに、無意味にネクストを遊ばせる余裕は無いのだ。
「お前は大人しく寝ていろよ」
去り際にスミカはそう言ったが、エレナは一刻も早く外に出たかった。
その願いは程なくして実現する。
AMIDAが防衛線を突破して、マザーウィルの外壁へ到達したのだ。
百を超えるAMIDAが強力な酸で装甲を溶かし、内部への侵入を図る。
こうなってしまってはマザーウィルの撃沈は時間の問題だった。
エレナは女医に抱かれて格納庫まで連れて行かれ、ホワイトグリントに放り込まれる。
ホワイトグリントは既にカタパルトにセットされており、即座に発進できるようになっていた。
他のカタパルトからはノーマルが次々と飛び出していっているのに、この一本だけエレナのために残されていた。
「ミサイルはたっぷり積んでおいた。思いっきり暴れて来い」
さっきの整備員が親指を立てて言う。
警報が鳴り響いた。
AMIDAが船内へ浸入を果たしたと悲鳴のような放送が流れる。
動力炉をやられてしまえば、強靭な装甲を誇るマザーウィルも一瞬にして吹き飛ぶ。
そこでエレナは気が付いた。
「あ、みんなは……!」
エレナは頭を上げた。
そこから幾人かの大人が微笑みながら見下ろしている。
「外に出たら振り向くなよ」
ハッチが閉じられ、格納庫の扉が開いた。
外で待ち構えていたAMIDAが入り込む。
周囲のノーマルがグレネードランチャーを浴びせAMIDAを吹き飛ばす。
それに合わせてホワイトグリントはカタパルトで打ち出された。
そして振り向いた瞬間、マザーウィルが大爆発を起こし、膨大な光と熱と衝撃とコジマ粒子を放ち、崩れていった。

       2

マザーウィル崩壊。
その報は大電王へ届けられ、有澤隆奈は落胆した。
いや、こうなる事は分かっていたのだ。
力ずくでも聞き入れさせるべきだった。
父に腕力で勝てるわけは無いが、それでも覚悟を示せば分かってくれたかも知れない。
しかし、それは終わった話だ。
マザーウィル四千人の乗員の命は既に絶たれたが、事はそれだけでは収まらない。
開いた穴からおびただしい数のAMIDAが雪崩れ込み、陣形は打ち崩され、全滅の恐れすらある。
これ以上の愚行を続けさせるなど、隆奈には考えられないことだった。
もう一度進言しよう。
それで駄目なときは……
だが、隆奈が固めた決意は意外な形で無用のものとなる。
「これより全指揮権を有澤隆奈に譲渡する」
突如、有澤隆文はそう宣言した。
ブリッジにいた全員が耳を疑った。
更に隆文は雷電で出撃すると言う。
死にに行くのではないかと思えた。
「お言葉ですがお父様っ! 指揮の責任はご自分で取るべきです。私にはお父様が責任から逃れるために前線へ出ようとしているように見えます」
隆奈の痛烈な批判に、隆文は怒るふうでもなく、むしろ穏やかな表情で返した。
やはり死地に向かう顔にしか見えない。
「全くその通りだ。私はお前に責任を押し付けている。だが、私がその椅子に座っていても、どうやら死人が増えるばかりのようだ。お前が雷電の椅子に座っても同じ事だ。己の体にあった椅子に座ろうではないか」
確かに前線には一機でも多くのネクストが必要だったし、隆奈が直接指揮を執ったほうが効率がいい。
隆奈は頷くしかなかった。
「分かりました。指揮権を引き継ぎます……そして命令します。必ず帰還してください」
「無論だ。まだお前一人に有澤重工を任せるつもりはない」
たったそれだけの言葉でホッとしてしまった自分は、まだまだ小娘なのだろうかと隆奈は思った。

       3

インテリオルがエレナ・ヘイズを亡き者にしようとする策謀は、納得がいくものだとロイ・ザーランドは思っていた。
ホワイトグリントは、他のネクストが止まっているのではないかという速度で戦場を駆け抜ける。
あれではいくら数をそろえても捕らえられないだろう。
なにせライフルの弾丸より速いのだから。
しかも、あれでまだ十歳だというのだ。
時が経てば更に強力なリンクスとなる。
もしエレナ・ヘイズが企業に対し明確な敵意を持ったとしたら。
その想像はインテリオルを戦慄させただろう。
確立として低いものではない。ならば尚更だ。
既にラインアークに味方し、企業軍と戦った前科もある。
暗殺しようとしたからといって、咎められる言われは無い。
マザーウィルの爆発によって粉塵が巻き上げられ、ホワイトグリントは位置を見失っていた。
不意打ちできる機会は、今を逃せば永遠に失われるだろう。
ロイには躊躇する理由は無かった。
別にそれほど親しいわけではないし、殺せば家族三人にクレイドルの永住権をくれるというのだから、むしろ積極的に狙いをつけた。
ミサイルを放ち、約束された平和な生活に思いを馳せたが、上空から何者かがそれを撃ち抜いた。
目の前でミサイルが爆発し、PAが剥ぎ取られる。
見上げると、黒い逆間接の機体がいた。
それはロイ・ザーランドが最後に見た光景となった。

       4

オッツダルヴァはエレナを救った。
ロイ・ザーランドが何故ホワイトグリントを狙ったのかは分からないが、如何なる理由があってもまかり通ることではない。
カメラをホワイトグリントに向け、無事な姿を見て安心する。
だが、エレナはオッツダルヴァへミサイルを撃った。
間の悪いことに、エレナはロイの愚行には気付かず、マイブリスに穴が開いてからアンサングを認識した。
突如現れた謎の機体が、ウィン・D・ファンションの恋人を殺したようにしか見えない。
「なんで……なんでっ、ロイさんを!」
激しい怒りと共に、ホワイトグリントは刀を構えアンサングに向かってきた。
違うんだ。オッツダルヴァは叫びたかった。
自分はオッツダルヴァなんだ。今エレナを助けたんだ。
どうして分かってくれない。
せっかくエレナに会えたのに。
私はここにいる。
エレナに会いにここまで来たのに。
エレナ。
エレナ。エレナ。エレナ。エレナ。エレナ。エレナ。エレナ。
どれだけ強く想っても、アンサングには発声器官など付いていない。
どうすることも出来ず、オッツダルヴァはその場を去るしかなかった。
心では泣き叫んでいるのに、涙も声も出なかった。

theme : アーマード・コア
genre : ゲーム

comment

Secre

No title

オッツダルヴァちゃん・・・・!!(;ω;)
らめぇさんはキャラを虐めるのがうまいですねぇ、物語の続きが気になってしょうがないです。

No title

>>ヒプホさん
うむぅ、それは褒め言葉として受け取ればいいのか!
受け取ろうではないかっ!

No title

感想コメントを欲しがりつつ新作うp…即ち流行のツンデレとかいう奴ですね、多分違います。

そっかー…インテリオルかー…もーあいつらいい加減潰れてくれた方が色々といいんじゃないかなこの土壇場でまで保身とかもうn(ry
しかも考えようによっては、●乙樽かウィンDあたりから事情を知ったエレナからの報復フラグ、と。まさに自業自得。同情の余地はないですが。
ロイはインテの考える『エレナという脅威』を納得してますけど、『AMIDAと潰しあってる』間にやる事ではないよーな。しかも結果その為に貴重なネクスト数機とSOMを潰した、って…インテリオル、AMIDAは完全無視してクレイドルに篭るつもりか?

エレナと●乙樽、最悪のコンタクトになっちゃいましたか。
誤解は解けるのか、そもそも乙樽復活に気付けるのか、更にクレイドルを襲うステイシスに乗ってるのは2人目の乙樽なのか只の偽装なのか。それ以前にAMIDAマザーなんとかなるのか?
続編期待して待ってます。

No title

あれあれ?
なんかインテリオルが悪役ぽいけど実は実はOMERがまだ黙っちゃいないんだろう?
おかしくね?あの腹黒仲介人だとしてもOMERには勝てなくね?更なる黒思想が出るんだろう?


つまるところ早く続きが読みたい!
そしてウィンD・・・・・・・・・かわいそす( ;ω;)

No title

>>KOU-Dさん
だ、誰がツンデレよっ!
インテリオルは何でこんなに酷いことになってしまったんでしょうねw
でも彼らがエレナを排除したいのは仕方が無いと思います
多分、エレナVSその他のリンクス全てでも勝てる気がする(オツダルを除く

>>ランスさん
オーメルとインテリオルは互いの陰謀を知らないから別におかしくなくね?
それにオーメルもアリシアちゃんの傀儡だし……

No title

はじめまして、ACfaの情報探してたら、「幼女」のキーワードに惹かれてたどり着きました。

こ、これはいい主人公×乙wwww(性的な意味で)
次は球体AI萌えの時代ですね、わかります。

ひっそりととっつきが活躍するのを楽しみにしてますね。

No title

>>牛二頭さん
はじめまして!
やはり幼女は素晴らしいものですよね
幼女が世界平和に繋がると信じております
これからもエレナとオツダルを宜しくお願いします

はじめまして、自称ドミナントです。
ACの小説探しててこれに出会い、一気に読みました( ̄▽ ̄)
個人的に幼女大好き(駄目だ・・・早くなんとかしないとw)
なので、乙樽の「まあ・・・ありじゃないか?」な画像で死にました(笑)

ホワグリアレサ・・・
それに、
アンサングアレサか・・・
頭ん中で頑張ってホワグリフレームにアレサはめ込みました(・∀・)

やはりアレサは、フレームパージしたらバシュ!って迫り出してくるんですか?
それとも新型軽量アレサとか・・・( ̄▽ ̄;)

僕としては、下の説を登場時から想像してました(笑)

・・・wktkの意味が分からないので、答えてくれたらうれしいです( ̄▽ ̄;)
まあこんなゆとり、な人間ですがヨロです!(^-^)/

さてさてオツダルはこれからどうなるやら?
やはり、エレナと対決orステイシスオツダルと対決か?
個人的にアレサVSARETHEの対決が楽しみです(^ー^)

No title

>> 自称ドミナント(笑)さん
はじめまして!
こんな拙い小説を一気に読んでくださってありがとうございます。

幼女はいい……とてもいいですよねっ!
今すぐ自分を含めて全人類が幼女になればいいのにと切に思います。

ホワグリアレサはですね、中に何かが入っているというよりはホワグリ自体がアレサなのです。
ですから、中からもっと強いのが飛び出すということはありませんw

wktkはワクテカ、ワクワクテカテカ。つまり、テカテカしちゃうくらいワクワクしている状況のこと、だと思います。自信ないですけれど……

これからもFA幼女を宜しくお願いします。
プロフィール

マヒリ(らめぇの人)

Author:マヒリ(らめぇの人)


ネコミミ魔法幼女とウサミミ大魔王
プロローグ
1
第一話 第六次降魔戦役
1-11-21-31-4
2-12-22-32-4
3-13-23-33-4
4-14-24-34-4
5-15-2
第二話 小さな復讐者
1-11-21-31-4
2-12-22-32-42-5
3-13-2

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FAの主人公が幼女
更新休止中
ストレイド創造編
01話02話
リンクスパーティー編
03話04話
マザーウィル編
05話06話07話08話09話
10話11話
有沢温泉編
温泉0温泉1温泉2温泉3
温泉4温泉5温泉6温泉7
ラインアーク攻防編
12話13話14話15話16話
17話18話19話20話21話
22話23話24話25話26話
27話28話29話30話31話
決戦!オーストラリア編
32話33話34話35話36話
37話38話39話

登場キャラクター
エレナ・ヘイズ オッツダルヴァ
ギャラリー
冬 水巫女 アルビノ 黒羊 黒天使 ハロウィン羊 和 冥鈴
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