新ジャンル「FAの主人公が幼女」35


       1

ホワイトグリントの間合いは約500メートルであり、そこへ進入したAMIDAは即座に一刀両断にされた。
刀を振るってから次の動作に入るまでの間が短いため囲むことも出来ない。
むしろ囲もうとして群がってきた場合、エレナにとって移動する手間が省けるだけであり、一振りで複数を斬る好機だった。
ホワイトグリントを避けるために、AMIDAは迂回して進撃しなければならず、戦局全体に大きな影響を与えていた。
つまり、エレナの力を持ってすればAMIDAの包囲網を突破して帰還することなど容易なのだ。
それが敵陣のど真ん中に単機で居座り続けているのは、ホワイトグリントの眼下にあるノーマルの残骸のせいだった。
あるものは強力な酸で溶かされ、あるものは力任せに引き千切られている。
50機ほどのノーマルが朽ち果てていた。
彼らはバーラット部隊と呼ばれ、国家解体戦争以前から存在する精鋭部隊だ。
しかし、所詮はノーマルとしての精鋭であり、ネクスト登場以降はその重要度も下がり、裏方へと回されることが多かった。
彼らは、かつての栄光を取り戻すため前進した。
その戦いぶりは獅子奮迅の如きであったが、それはAMIDAの謀略だった。
意図的に防御の薄いポイントを作り、そこへ入り込んだバーラット部隊を奥へ奥へと誘い込み、退路を断つ。
そこから先は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
助けを求める通信があっても、そこまで辿り着ける者はいない。。
それに、バーラット部隊が全体の統率を意識していれば孤立することも無かったのだ。
功をあせった自業自得。
誰もがそう考え、バーラット部隊のことは忘れようとした。
ただ一機、エレナのホワイトグリントだけが飛び出した。
恐るべき突進力でAMIDAを薙ぎ払い、バーラット部隊の元へ駆けつける。
それからエレナは群がるAMIDAを一心不乱に倒し続けた。
疲労が限界に達し、意識が混濁しても、自動人形のように動く。
いつしかバーラット部隊が全滅していることにも気がつかず、エレナは彼らを守り続けていた。

       2

大電王の放ったレーザーはAMIDAの陣形に深く抉りこみ、大きな穴を開けた。
光を直視してしまった機体はカメラに障害を起こし、復旧するまでの数秒間行動不能に陥り、大きな隙を作る。
もっとも、AMIDAにも同じことが起きたらしく、戦場全体が戸惑っているようだった。
その中でシリエジオだけが敢然と飛んだ。
奥にいるホワイトグリントへ一直線だった。
それに遅れて司令部より突撃の命が中央部隊に下る。
敵陣系の穴にくさびを打ち込み、一気に突破を図るのだ。
しかし、霞スミカにとって最も重要なのは戦局ではなくエレナ個人だ。
スミカが駆けつけたとき、ホワイトグリントはAMIDAを三匹まとめて両断している所だった。
「エレナッ!」
その呼びかけに答えず、ホワイトグリントは即座に次の獲物へと飛んだ。
余りの速度に、スミカは追随するどころか、目で追うことすら出来ない。
レーダーを見ると、2キロ離れた場所でAMIDAを二匹沈めていた。
「おいっ、エレナ! 返事をしろ!」
「…………スミカさん?」
ようやく聞こえたエレナの声に安堵する。
「よし、目は覚めているな。帰還するぞ」
ホワイトグリントに追いつき、その腕を引く。
「放してください! 私が守らないと、皆が……!」
エレナは腕を振り払おうと暴れた。
スミカはその頭を掴んで真下を向かせる。
「よく見ろ、もう全滅している」
「あ……」
ホワイトグリントから力が抜けた。
「お前はよく戦った。帰って休むんだ」
「…………はい」
ようやくエレナが手を握ってくれた。
その矢先、二人の前にAMIDAが立ちはだかった。
デカイ。
トンボ型が顎を開いて、視界一杯に広がっていた。
「貸し一つだぞ」
その通信と共に、トンボを徹甲弾が貫く。
「ローディーか。すまん!」
フィードバックを残して、スミカはエレナを連れて逃げる。
途中、メリーゲートとすれ違い、更にその後ろからノブリス・オブリージュとヴェーロノーク、そして500機のノーマルが続いていた。
全軍の四分の一が投入されている。
有澤隆文は、この穴を一気に押し広げて勝負を決めるつもりだ。
しかし、そう上手くいくだろうか。
既に開いた穴は閉じようとしている。
AMIDAとのおしくらまんじゅうだ。
「スミカさん。聞こえますか?」
有澤隆奈からの通信だ。
「ああ。いいのか、この作戦? 恐らく力負けするぞ」
「それは父に言ってください。それよりも、貴方はエレナちゃんを右翼のマザーウィルまで運ぶことを優先してください。ロイ・ザーランドが死守してくれています」

       3

右翼の戦いも激しさを増していた。
無尽蔵に増えるAMIDAに対し、限りあるACを効率的に使い対応しなければならない。
補給と修理を繰り返すうちに、戦力は刻一刻を減り続ける。
人員の疲労も無視できるものではない。
戦闘開始から二時間余りが経過したが、その間、整備班はノンストップで働き続けていた。
これが更に二時間、三時間と続いていけば、真っ先に彼らが倒れるだろう。
各AFはACの補給基地として機能していたが、その中でも最大の物は右翼のマザーウィルである。
格納庫はACの排熱でサウナ状態となり、整備班はその状態で重労働を強いられた。
「おい、MARVEの弾がもうないぞ!」
「だったら、そこらに余ってるGA型のでもつっこんでおけ」
「三番滑走路にネクストが二機来るぞ! 準備しろぉ!」
怒声が響き渡る格納庫に、ホワイトグリントとシリエジオが着艦した。
それを見た若い整備員が口笛を吹く。
「純白の花嫁だぜ」
伝説のネクスト、ホワイトグリントを目の前にし疲れも忘れて見入ってしまう。
「無駄口叩く暇があったら手動かしやがれっ!」
班長の怒鳴り声で我に返ったが、コックピットから這い出してきたパイロットを見て、また固まってしまった。
どう見ても十歳かそこらの茶色い髪の少女が、フラフラした足取りで階段を下りようとしている。
しかし、足がもつれた。
恐らく、AMS負荷と熱でやられてしまったのだろう。
「見てらんないぜ」
整備員は手のスパナを捨てて走り出した。

theme : アーマード・コア
genre : ゲーム

comment

Secre

No title

>おい、MARVEの弾がもうないぞ!
>だったら、そこらに余ってるGA型のでもつっこんでおけ
ちょwwwwまさかの中身偽装wwwwww

AC2やSLでも一斉進攻前の整備班はこんな事に・・・

No title

>「見てらんないぜ」
整備班、紳士だ・・・(ポッ

No title

>>「だったら、そこらに余ってるGA型のでもつっこんでおけ」
…規格違うだろうに、暴発しないだろーな…ま、整備員の言なら信頼できるかも?
或いはそんな事言ってられる余裕皆無か。こっちっぽいかな…にしても、弾数少ないMARVEなんて長期戦必至の戦闘で誰が持ってきたw
案外エレナは壊れてなかったようで何より。てっきり(吹き込まれた結果)AMIDA憎しでプッツンしてるかと思ってましたけど。

一時とは言えWGが退いた事でAMIDA側が押し返しを図るかな?
大電王が前に出れば雑魚は駆逐できそうだけど、問題はマザーか。不等号的な意味で。

スパナ→オープンレンチ
捨てて→置いて

・工具を残置すると機体内に置きっ放しになったり紛失の原因になります!
・ツールは整備員の命!武器!

…すいません嘘です小説の語感とかリズムとかありますよね
現場としてついやってしまっ…
19「見てらんないぜ」

No title

>>Ranceさん
とりあえず入れときゃいいんだよ!

>>ヒプホさん
紳士淑女しかいないブログだよ!

>>KOU-Dさん
エレナさんも少しずつ成長しているのでhないかなぁと思います
胸は成長させませんけどね

>>19さん
19さんの職場ってジョギングが仕事かと思ってたぜ
プロフィール

マヒリ(らめぇの人)

Author:マヒリ(らめぇの人)


ネコミミ魔法幼女とウサミミ大魔王
プロローグ
1
第一話 第六次降魔戦役
1-11-21-31-4
2-12-22-32-4
3-13-23-33-4
4-14-24-34-4
5-15-2
第二話 小さな復讐者
1-11-21-31-4
2-12-22-32-42-5
3-13-2

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32話33話34話35話36話
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